残された減価償却資産に対する未償却分の負担について
相談内容 残された減価償却資産に対する未償却分の負担について
大阪・30代男性
このたびは、お世話になります。
皆さんのお知恵、知識に頼りたく、投稿を決心いたしました。
とあるテナントを銀行から借り受けすることになっているのですが、
前の借主が退去した状態が残っております。
そのため、
●最初に現状渡し、退去時現状復帰
を伝えられ、了承しており、
その上で、家賃、保証金が伝えられ、話を進めておりました。
銀行からは、「ほぼ私に貸すことになります」と言われており、
契約は時間の問題といった状況でした。
しかし、今になって、現場所に減価償却資産(銀行の資産)
が残っているとのことで、現状解体、内装変更に制限を加えてきました。
どうやら、最終の契約書を作成する際に、盛り込みたいようですが、
これまでの交渉では、一言も触れられておらず、こちらとしても困惑しています。
例えば、エアコンの入れ替えを検討していたのですが、
●未償却分があので、エアコンはそのまま使ってほしい
(故障時の修理費、入れ替え時の費用は負担してほしい)
●もし、撤去、入れ替えとなれば、未償却分は負担にしてほしい
という申し入れをされました。
また、エアコン同様、その他の部分を解体をした場合も、
「残されている減価償却資産については、
未償却分を当方に負担をしていただきたいので、保証金の値上げをします」
と言われました。
現在のエアコンはマルチのエアコンのため、入れ替えにはかなりの高額になり、
テナント借受後の資産計画に大きな影響が生じます。
それ以前に、家賃などの交渉から5ヶ月近く経過しており、
資金計画も大詰めであって、変更もままなりません。
一般的には、銀行の都合で最初に交換できないようなエアコンの修理や、
後々の交換などの費用を、壊れた際には当方が負担しないといけないのでしょうか?
また、仮に最初から現場の解体ができた場合
(現状渡しでの借受を了承していた場合)でも、
解体(破棄)した減価償却資産に対する未償却分を、
当方が負担しないといけないのでしょうか?
長文となりましたが、ご教授いただければ、幸甚に存じます。
よろしくお願い申し上げます。
□■アドバイス:1
私の経験上、金融機関と不動産取引を行う場合は、
注意しないと、どんどん話が変ることがよくあります。
これは上場企業も同じですし、一定規模以上の企業はどこでも同じで、
特に、担当者が無能で、力の無い場合(実際には何の決定権も無い場合)に起こります。
つまり、現場の担当者にはほとんど権限が無く、最終的な判断を下すのは、
現場とは関係のない書類上のチェックだけ行う本部の取締役会や社長であるために
起こる現象です。上から指摘を受けると、コロっと話が変ってしまうんですね。
これを防ぐには、打ち合わせ書を必ず作成しておくことです。
ある程度、話が変ることを予想しながら、打ち合わせ書を作成しておくと、
無能な担当者でも少しは気をつけて発言するようになります。
そうすると、この証拠を元に役員会に対しても強く出ることができるようになりますし、
言った言わないの問題も起き難くなります。
メモ程度では無く、きちんと作成したものをその場でコピーして
先方にも渡しておくと、少しは注意して交渉をしてくるようになります
(相手を見て対応を変るようなことを平気で行うわけです)。
さて、実際の契約はこれからだと思いますので、
現実的には先方の言い分を飲まざるを得ないとも思えます。
但し、これまでの経過や交渉の証拠となるものがしっかり提出できれば、
それらを元に交渉することも可能でしょう。
通常、設備の故障の補修や未償却資産の処理は貸主負担で行うべきだと思いますが、
業務用物件に関しましては、契約書の内容に従うべきとも思います。
今後の交渉によるのでしょうが、前述のように、
実際の決定権は誰(=何処)が握っているのかを良く確かめながら進めないと、
もっと違う条件が新たにつけられてくる可能性もございます。
あまり現場の担当者を信用しないことが大事ですから、
その点を注意して交渉して下さい。
(高原開発・涌井さん)
■□相談者より
さっそくのご返事ありがとうございます。
これまで交渉を録音しておりましたので、書類にまとめて、提出してみます。
お返事を拝見し、一般動産の場合は、備え付け備品の補修、
未償却資産は貸主負担であっても、
今回のテナントなどの場合、交渉次第であって、
慣習や、法律的に、私が強くいえるものではないのですね。
これまで、テナント開店のための私や関係者の労力は多大なものがあり、
また、お客様も心待ちにされておりました。
そのため、今後、もし私が予算的にテナントを借り受けすることが
難しくなった場合に、裁判に訴えることも考えておりますが、
いかがなものでしょうか?
続けての質問で申し訳ありません。
□■アドバイス:2
今までの交渉過程が不明のため、詳しいことまでは返答いたしかねる…
と言うのが本当のところですが、あえてお答え致しますと、以下のとおりです。
備え付け備品の補修、未償却資産は、基本的には貸主負担ですが、
投稿内容を読む限りでは、まだ交渉中であるようですから、
貸主の要望を受け入れるかどうかは、貴方次第であるということになります。
どうしても早急に契約を締結したいのであれば受け入れざるを得ないと思いますし、
契約が不成立になることを覚悟であれば、受け入れないことを強く主張する
ということになると思います。
この辺りのことは交渉のテクニックの問題もありますので、何とも言えません。
基本的には一方的に不利益とはっきり言える内容でない限りは、有効となると思われますし、
場合によっては一方的に不利であっても有効となる場合もございます。
契約は当事者双方が明確に納得して締結したかどうかが重要になると思います。
裁判に訴えることにつきましては、
まだ契約自体は成立していないと思うのですが…。
契約前の苦労を元に損害賠償を求めるというのは、正直に言ってあまり感心しません。
もし、その様なことが認められるとしたら、交渉過程において長期化する取引は
全て損害賠償の対象になってしまうということになります。
録音されたテープには、
契約が成立したと明らかに解ることが録音されているのでしょうか?
通常、損害賠償関係につきましては、契約書が取り交わされた以降の、
契約不履行に対して行われるのが一般的だと思います。
つまり、
●契約書に「×月×日より賃貸借を開始する」
と明記されているのにもかかわらず、
その賃貸借物件の引渡が遅れた場合は、
その遅れに対しての損害の賠償も可能
かとは思いますが…。
確かに、民法には口約束でも契約は成立するとなっていますが、
大事なことは、その口約束が、「賃貸人本人(銀行の場合は銀行の代表者)」
となされていたかどうかのしっかりした証拠があるかどうかが大事ですし、
その証明責任は貴方にあるわけです。
個人的な意見ですが、大手企業の場合は、ミスをした担当者をクビにしたり、
飛ばしたりして企業保身をはかるのが一般的ですから、
裁判をしても有利な結果を引き出すことは難しいと思います。
なお、詳しいことは弁護士等の専門家にご相談なさった方が宜しいかと思います。
(高原開発・涌井さん)
■□相談者より
今回は、詳細なご返事ありがとうございました。
商業施設に関してのやり取りは契約書次第であること、理解いたしました。
今後、担当者と交渉し、すこしでも計画予算に近づけて、
双方円満な解決法を導いてみたいと思います。
また、結果をご報告いたします。
□■アドバイス:3
本件の相談とは若干外れるかも知れませんが、参考になればということで…。
私が今実際に関っている賃貸借で、
契約成立以前に問題点が生じるという事例がございますので、紹介しておきます。
リサイクル事業に関る土地、および、建物の賃貸借の案件です。
以前より自動車解体業を行っていた物件の賃貸借について、
新規に資格を取得するのが難しいので、
●昔からの既得権を持つ個人→会社設立→代表者の入れ替えと
いう手順を踏むことになりました。
「既得権(?)→正規な許可申請」の過程で、
●賃貸借契約成立以前にどうしても正規な許可が可能かどうかが問題
となりますとともに、
●この許可申請の過程で、対象土地の整備がどうしても必要
となります。
この整備費用は、許可がおりて賃貸借契約が成立すれば、
借主が負担するのは当然ですが、
●許可がおりず、賃貸借契約が成立しなかった場合の
整備費用の負担はどうするのか?
●また、許可がおりても、貸主が自分で営業したくなったり、
転売したりする可能性もあるというような様々な問題がある
ということで、私の所に相談がありました。
私は、賃貸借契約を当社の仲介で行うことを条件に、
この内容について、具体的な負担割合を取り決めた「覚書」を作成し、
当事者双方の捺印署名を行うようにアドバイスしました。
そして、無料で覚書の作成もしてあげました。
つまり、賃貸借契約成立以前にも、賃借人が様々な出費をすることは
時々あることなんです。特に許認可の絡む業種の場合は、この傾向が強くなります。
その場合は、口約束ではなく、明確な経費の負担の割合等を取り決めた
「覚書」を事前に締結しておく必要があると思います。
そうすれば、今回の様な問題も生じ難いと思いますので、
解り難いとは思いますが、参考にしていただければ幸いです。
(高原開発・涌井さん)
■□相談者より
こんばんわ。本当に、丁寧にお答えいただき、ありがとうございました。
今回の資産に対しての回答がでましたが、
結果として、当方は負担せずに契約にこぎつけることができそうです。
話し合いでまとまり、本当に喜んでいます。
涌井様、本当にありがとうございました。

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