瑕疵担保責任について
相談内容 瑕疵担保責任について
福岡・40代男性
このたび、建築条件付土地を購入することになり、
土地売買契約書を交すことになったのですが、
その中の瑕疵担保責任に関する以下の条文に疑問を感じました。
なお、売主(甲)は大手の住宅メーカーです。
「本物件に隠れた瑕疵があるとき、またはそれにより毀損を生じたときは、甲は
引渡から2年間に限り民法第570条に定める瑕疵担保の責を負うものとします。
但し、乙がその事実を知ったときから1年を経過したときは、甲は引渡から2年
以内といえども、瑕疵担保の責を免れるものとし、また天災地変、その他不可
抗力等、甲の責に帰すべからざる事由により生じた毀損等の場合および地盤の
瑕疵、地下埋設物については、甲は瑕疵担保の責に任じないものとします」
上記は前段で、
●隠れた瑕疵があるときは、瑕疵担保の責を負う
としながら、後段の終りで、
●地盤の瑕疵、地下の埋設物については責に任じない
としており、
「じゃあ、一体、どういう場合なら責任をとってくれるの?」
という感じです。
なにぶん、土地の売買は始めての経験であり、
土地も工場の跡地であるらしいことから、地下の状況もわからず、
このような文言があると不安です。
そこで、
●こういう契約条件は一般的なのか?
●また、交渉によって変えさせることができるのか?
について、アドバイス、よろしくお願い致します。
□■アドバイス:1
私見ですが、ご指摘の通り、
この瑕疵担保責任の条項には若干の問題がある様に感じます。
「工場跡地であることを知っている」ということになりますと、
業者としての調査責任、および、地盤改良責任は当然生じるものと思われます。
土壌調査、および、土壌改良工事後の瑕疵担保責任の特約であれば、
若干は理解できるのですが、もしそれらが行われていなかった場合は、
●その土地に土壌汚染等の問題が生じる可能性が充分あることを知っていて、
瑕疵担保責任を逃れる特約を締結した
とも
解釈されるのではないでしょうか。
その場合は、民法第572条により、その特約は無効になる可能性も否定できません。
そもそも、
●地盤の瑕疵、地下埋設物については、甲は瑕疵担保の責に任じない
という様な
条項を入れること自体に不自然さを感じてしまいます。
過去はさておき、現在では工場跡地においては土壌汚染調査や地盤調査を行うのは
常識ですから(開発行為時に指導され、土壌汚染対策法等の法的、または自主的に
行うのが一般的)、不安であれば、その調査結果の資料の提示を要求された方が
宜しいかと思います。
もし、工場跡地で土壌汚染調査を行っておらず、かつ、その様な特約条項を入れる
業者は、大手(?)といえども、信頼性に欠けると思いますので、購入に関しては、
納得できないのであれば、再考された方が良いかもしれません。
(高原開発・涌井さん)
□■アドバイス:2
売主は大手の住宅メーカーとのことなので、
宅地建物取引業者ということでよろしいでしょうか?
売主が宅建業者であれば、「但し…」以降の後段は、
宅建業法40条により、無効になります。
(北杜宅建センター・萩原さん)
■□相談者より
涌井様、萩原様、早速のアドバイス、ありがとうございます。
宅建業法第40条では、民法の規定よりも買主に不利な特約をすることはできず、
無効になるのですね。安心しました。
現実的には、土壌汚染調査等の資料の提示を要求したところ、
「宅地健康診断報告書」の写しを提示してきたこと、
また、損保会社との間で地盤保証に関する契約を結んでいる
との説明があったことから、契約に踏み切りました。
今回の件に関しては、大手といえどもこと契約に関しては
疑問符(?)がつくことを実感致しました。
売買契約書や重要事項の説明についても、担当者は宅建取引主任者証を提示して
説明を始めましたが、突っ込んだ内容を聞くと全く答えられないだけでなく、
明らかに態度が悪くなるなど、不審を抱きましたが、同席した営業の方が
素早く動いてくれて、要求する資料を揃えてくださったので、
契約することにした次第です。
あらためて、適切なアドバイス、ありがとうございました。
□■アドバイス:3
私見ですが、地下埋設物等の汚染物質については、
業法とは別の問題と考えた方が宜しいかと思います。
恐らく、瑕疵担保責任は2年間の期間となっていると思われるのですが、
それですと、2年間を経過した後に、地下埋設物や汚染物質が出た場合、
瑕疵担保責任は逃れるということになり、売り主業者は責任を負わなくて済む…
ということになってしまいます。
一般消費者は、業法よりも厳しい消費者契約法で保護されていると思った方が
良いかと思います。
それと、地盤については、近年の判例では、建設会社・設計者に
調査責任があるとされています。
つまり、一般的には、その土地に建物を建てて良いかどうかの判断は、
設計士・建設会社が判断すべきということになっています。
これは、品確法の10年の瑕疵担保責任の義務の関係とされているのが一般的です。
今回の場合は、土地の売主と建設会社が同じようですから、
地盤調査の保険に入っているのでしょうが、はっきり言いますと、
この保険の中味をみないことには、安心かどうかは、はっきり言えません。
ですので、
・保証期間(通常は10年)
・保証限度額
・対象となる物件
などを、よくご確認いただく必要があります。
元は生産物賠償責任保険なのですが、地盤調査会社に支払われる保険が
一般的なのですが、近年では地盤調査会社に責任があるという判例は殆んどありません。
そこで、建設会社に直接支払われる保険の方が安心ということになる訳です。
この点についても、ご確認された方が宜しいかと思います。
もうすでにご契約されたということですが、
知識として知って頂くのも宜しいかと思います。
(高原開発・涌井さん)
■□相談者より
涌井様 再度のアドバイス、ありがとうございます。
消費者契約法は、不動産取引を含め、すべての消費者契約に適用され、
たとえ民法の規定とが競合しても優先して適用される、ありがたい法律なのですね。
でも、私自身、もう少し賢い消費者になる必要がありそうです。
保険については、「地盤保証証書」なるものを取り寄せてみたところ、
住宅メーカーの保証連合体と損保会社との契約で、
私の契約した住宅メーカーは、その保証連合体の登録会員となっているようです。
保障期間は10年で、保証限度額は5,000万円(累計保証限度額は1年間で5億円)です。
対象となる物件は、第4条(保証内容)の中に、
「…地盤調査または地盤補強工事の結果に起因して、本保証証書記載物件の地盤
の不同沈下等により当該建物が損壊した場合、損壊した建物及び地盤の修復工
事を行ない…」
とあり、地盤が原因で建物が損壊する場合の保証を想定し、
地下埋設物や汚染物質については全く触れられていません。
この点について、
(宅建取引主任者はあてにならないので)営業担当に質問したところ、
●契約上は、やはり、地下埋設物については、瑕疵担保の責に任じられないが、
工場跡地であることから、事前にボーリング調査を実施して、異常が無いこ
とを確認していること
●また、仮に地下埋設物が出てきて司法の場で争うことになった場合でも、消
費者である私が一方的に損をするとは考えられず、その場合でも会社として
誠意を持って対応させていただく
との言質(?)を得ましたので、これを信用するしかなさそうです。
□■アドバイス:4
消費者契約法は、購入者が一般消費者である限り、
不動産売買においても摘要され、民法・宅建業法の不備な点を補っています。
保険については、はっきり断言はできませんが、その内容であれば、
問題ないかとは思います。
地下埋設物&汚染物質についてですが、
●契約上は、やはり、地下埋設物については、瑕疵担保の責に任じられないが、
工場跡地であることから、事前にボーリング調査を実施して、異常が無いこ
とを確認していること
については、消費者契約法で充分対抗できるかと思います。
工場の跡地で、フェーズ3調査までやっているのですから、
危険性は充分認識していたということになるかと思います。
フェーズ1の調査で汚染や埋設物の危険性があると診断されたのだと思います。
ですから、フェーズ3によるボーリング汚染調査を行ったのでしょう。
その次のフェーズ4は汚染除去・浄化対策となります。
また、
●また、仮に地下埋設物が出てきて司法の場で争うことになった場合でも、消
費者である私が一方的に損をするとは考えられず、その場合でも会社として
誠意を持って対応させていただく
については、
実際に社会的に問題になる程の埋設物や汚染物質が出た場合、司法の場で争うのは、
住宅メーカーと工場を経営していたその土地の前所有会社になると予想されます。
その営業の言う誠意というのは、あまりアテにはなりません。
住宅メーカーはどのような特約を入れようが、フェーズ3まで行った工場跡地については、
埋設物や汚染物質については逃げられないとは思います。
ですから、どうしても工場の経営を行っていた元の所有者と争うことになる確率が高い
のですが、その場合、分譲地の購入者は待っているしかありません。
汚染除去・浄化対策には莫大な費用がかかります。責任のなすりつけ合いになって、
裁判でも、なかなか時間がかかってしまいますし、責任の所在がはっきりしても、
倒産等によって、費用が出ないことも予想されます。
今回はフェーズ3まで行って、フェーズ4まで行わなかったと思われますので、
フェーズ3では異常は見られなかったのだと思います。
(この点はご確認下さい。フェーズ4を行っているのであれば、ほぼ安心と言えるでしょう)
しかし、フェーズ3も敷地の全てで行う訳ではありませんし、
フェーズ4を実際に行うとなると数千万~数億円の費用が必要となります。
そのため、不安があるからこそ、あのような特約を入れたとも考えられます。
不安を煽る訳ではありませんが、大手の一営業マンが言うことは、
あまり信用なさらない方が良いでしょう。
何かあっても、「その営業マンが個人的に発言したこと」と言われますし、
問題が発生したら、首を切るか、遠くに転勤させて終ってしまいます。
大事なのは、営業マンよりも、その会社の経営方針かと思います。
(高原開発・涌井さん)
■□相談者より
涌井様、度重なるアドバイス、ありがとうございます。
今回、衝動的に土地購入に至った経緯については、
普段は石橋を叩きすぎるくらい慎重な自分にとって、信じられない行動です。
特に、不動産のような高額の買い物をする場合、最初から涌井様のような
専門家の意見を伺いながら検討すべきでした。今後とも、私のような
不動産売買ど素人にも救いの手を差し伸べていただけますよう、
ご繁栄とご活躍をお祈り申し上げます。

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