災害に起因する退去について
相談内容 災害に起因する退去について
三重・30代女性
現在、築30年の借家に、3年ほど住んでいます。
しかし、先月の地震により、屋根瓦が数箇所剥げ落ち、瓦がずれ、
外壁も一階から二階までヒビが入りました。
さらに、先週末、強風により大屋根の上に設置してあるテレビアンテナが倒れ、
電波受信が局によってはままならない状態になりました。
地震による影響は、屋根自体の経年劣化も激しく、
吹き替え工事を行わないとならないレベルとのことですが、
家主側には大金をかけて直す意思はないそうです。
強風による影響も、上記と根源が一緒で、「屋根を直すときに直すべき」
と電気工事の方に言われました。
退去することに不服はありませんが、特に大家側から退去要請されておらず、
すでに屋根の件からは、一月以上経過しており、今後、入梅による雨漏り等
考えると悠長に構えていられなくなりました。
この場合、引越しにかかる経費を一部負担してもらうには、
やはり、大家サイドからの退去要請を待つほうがよいのでしょうか?
それとも、こちら側から、
●修繕をしてくれないのならば退去するので、
それに伴うある程度の経費を出してほしい
ということを、伝えても良いのでしょうか?
退去要請があったとしても、補償うんぬんは交渉次第であり、
家主側の義務でないことは承知しておりますが、
どう対応したものやら、少し困っております。
お知恵拝借したく、ご相談いたしました。
★サポート追記★
本相談は、要求を伝えない限り、進展することは無いものと判断し、
相談者に対して、上記の要求を伝えた上で、先方の言い分を投稿するよう求め、
以下が再投稿になります。
ご回答ありがとうございました。
屋根が相当危険な状態であることを、家主、および業者がようやく把握し、
できるだけ早い退去を要請されました。
敷金にプラスして引越し費用を出すとのことでしたが、大家側は、
「もともと高い家賃ではないし(=65,000円)し、
地震はある意味不可抗力なため、引越費用の全額負担するかどうかは未定」
とのことでした。敷金が戻るのは当然なのですが、
双方の納得のいく金額になるよう交渉していきます。
★サポート追記★
地震などの災害時の対応は、
通常の老朽化に起因する立ち退きに対する対応とは、異なるかと思われます。
本相談の場合、法的な根拠以前に、借主側も、ある程度、貸主側に対する配慮
を考慮するような思いやりなども必要かとは思われます。
しかしながら、大規模な災害が発生したにもかかわらず、積極的に状況把握を
しようとしない点は、貸主、仲介(管理)事業者とも、管理物件に対する無責
任さ、そして、借主に対する誠実さが足りないようにも思われますので、ある
程度、強く要求すべき部分もあるように思われます。
なお、災害に起因するケースにおきましては、必ずしも法的根拠だけで解決す
ることが難しい場合も多いと思います。
そのため、皆さまのご経験などを踏まえた「現実的な落としどころ」などを、
是非とも、お聞かせください。
□■アドバイス:1
私見ですが、「サポート追記(=ある程度、強く要求すべき部分もある)」
に賛同します。
災害も家主にとってはリスクの範疇で、引越し費用全額請求は
無理な要求ではなく、現実的な落しどころになると思います。
(響不動産リサーチ・山中祐次さん)
□■アドバイス:2
私見ではありますが、近年の考え方としては、
●通常の地震に耐えられない強度の賃貸物件については、
大家はその損害賠償を負うべきである
という流れになっています。
基本的なことですが、大家さんには借りた人が居住するのに
適した状態を保つ責任がありますから、物件が破損した場合には
大家さんが補修しなければなりません。
そして、地震などの不可抗力で破損した場合についても、
大家さんが補修すべしという判例があります。
(現実的には、近隣でほとんどの建物が倒壊等の被害に合っている場合は、
大家としての責任を問うのは難しいのでしょうが、
大家が建物の強度維持のための努力をせず、かつ、そのことによって
被害がもたらされた場合は、損害賠償を負うべきであるという考えになると思います。
そのため、近隣と比較して、その建物の被害が著しい場合として考えた場合、
今回の場合は倒壊ではなく、屋根の補修で済むということなので、
●大家には「補修の意思」がないというレベルの話ではなく、
「補修する義務」を負っている
と考えられ、賃貸事業者として耐震補強工事を行う必要があるでしょう)
もし、大家が補修をせず、退去を要求する場合、
退去要求の正当事由とは考え難いのではないでしょうか?
その場合は、
●退去に要する費用
●現在の賃貸物件と同等レベルの新規賃貸物件(=引越先の物件)の
家賃との差額の一年分程度
は補償すべきだと考えます。
そのため、
1.まず基本は、大家として耐震補強工事・屋根の補修工事を行うべきであると
主張(その意思が無いということでしたが、再度交渉)
2.その要求が受け入れられない場合は、退去に要する費用全額と、引越先家賃
の差額の一年分を要求
ということで交渉されるということになるでしょう。
ただし、近隣において(強度の強い建物も含めて)ほとんどの建物が
倒壊してしまった場合は、この限りでは無いと思いますし、
修理費用が多額におよぶ場合であれば、修理義務を免除される可能性があります
(受け取り賃料の合計よりも修理費用が多いとか、
賃料と比較して大家の負担が過大である場合などです)。
なお、今回のご相談は、三重の地震の事だと思いますので、交渉前に、
近隣の状況を良く調べ、かつ、他の同等事例等を知っておく必要もあると思います。
まず、市役所の無料相談など、その被害が良く解っている所で、
ご相談されてみることも良いのではないでしょうか?
(高原開発・涌井さん)
■□相談者より
涌井様、山中様、早速のご回答ありがとうございました。
借家は、近隣のお宅に比較しますと、かなり目だって被害を受けている状態です。
屋根の補修は瓦の下の板からはがして行う必要があり
(=二階の部屋から空が見える状態にして工事する必要があり)、
100~200万円かかるというのが、仲介業者による説明でした。
現在、2年2ヶ月住んだことになりますが、そうなると修理費は
支払った家賃と同等以上になることになります。
引越し代の全額補償も、そう無理難題ではないとのアドバイスに、
少しほっとしました。
感情的かもしれませんが、お見舞いの一言もない家主さんなので、
ちょっと信頼できない気持ちもありますもので…。
★サポート追記★
上記投稿に加え、
「ところで質問なのですが、家主さんはこういう場合に備えて
保険等入ってないのでしょうか? その保険によって補償を
支払うことになるなら、家主さんの財布も傷まないのでは…
と思ったのですが」
とありましたが、
●仲介事業者から上手く聞き出すようにすべき内容
●一般的に地震保険は全壊でも50%の支払いになる点
(=部分損壊の場合、充分な補償が得られない可能性がある点)
を、サポートより補足します。
なお「お見舞いの一言」などの感情的な部分については、
トラブルを防ぐ上でも、契約時に、借主側から積極的に貸主のことを
質問するなどの努力も必要です。
もし、とても親切な貸主であるのなら、借主の側も貸主に対して
気遣いするなどの日常の努力が必要であり、そういう積み重ねが、
お互いの良好な関係を築いていくものと考えます。
しかしながら、自らが管理することなく、仲介事業者に依頼される
貸主の場合は、極めて事務的に考えている場合もあるため、
そのような貸主であれば、仲介・管理を引き受けた事業者が、
きちんと心情面もフォローすべきでしょう。
地震などの災害時は、事業者にとっても非常に大変な時期になるか
とは思われますが、そういう時こそ、プロとして誠実な応対を心がけて
いただきたいと、私たちFudosan.JPは考えます。

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