借主が事後承諾で改造した場合の原状復帰について

相談内容 借主が事後承諾で改造した場合の原状復帰について

東京・女性・40代
工場兼住宅を貸しています。(数年前から法定更新)
借人が事後承諾で中を改造していたのですが、
今度別の所を借りるので出て行くと言ってきました。

改造したのは、2階建て2階部分の一部で
下が薄いコンクリートだったため、
何もしないでそのまま物置状態だったところに、
無理に部屋を作ってしまったのです。
安全上そのままでは次の人には貸せないのですが、
こちらの後始末としては「原状復帰」ではなく、
安全性と法律に沿った新たな改造ということになります。

また、こういうご時世なのでいずれにしても
次の借り手が出るかどうかはあやしく
建物も鉄骨造りとはいえ40年たっています。
そしてさらに、そこは借地で、現在地主とは
土地を買い取るか借地権を売却するかという話も出ており
今の建物を維持したままかどうか自体、流動的です。

そこで質問ですが、
・借り主に対し、「新たな改造」の場合はそれに対する費用の請求は可能でしょうか
・別の建物を建てる等の理由で建物自体を壊した場合、
 もう借り主には改造の責任を問うことは出来ないでしょうか。


□■アドバイス

私見ですが、
契約書の内容にもよりますが、基本は原状復帰です。
この原状復帰費用相当額を超えない範囲で有れば交渉可能かと思います。
相談者が建物を取り壊した後に、その費用負担を求めるのは難しいと思います。

なお、事後承諾とは言え相談者は改造を認めたと言えると思われますので、
「改造の責任を問うこと」は出来ないでしょう。
もし、責任を問うのであれば、事後承諾を求めてきた時に、
承諾せずにそれなりの交渉を行うべきだったと思います。
あくまでも原状復帰を求める事になろうかと思います。

(高原開発・涌井さん)

期間内解約と原状回復について

相談内容 期間内解約と原状回復について

高知・30代女性
当方は2階部分を飲食店に貸していたのですが、
9/8に解約の申入れを受けました。
契約書には、期間内解約に関して、
   ●3ヶ月分の賃料額を支払うことにより、
    即時本契約を解約することができる
  とあるのですが、その場合は、
   ●9/1~7までの日割り家賃と3ヶ月の賃料
   ●9/7までの日割り家賃と、
    8日から明渡しまでの家賃と、3ヶ月分の家賃
  の、どちらを請求するべきでしょうか? 

また、現在の建物(4階建て)を建設する際に、
2階部分はワンフロアーになっており、借主と当方は隣接しています。
そして、
   ●借主の設計で当方が施工し、費用に関しては借主負担
  という形になっていました。
  
この場合の「原状回復」は、
どのような状態をもって原状とするのが良いものなのでしょうか?

つたない文章で、わかりにくいとは思いますが、よろしくお願いいたします。


□■アドバイス:1

私見ですが、通常9/8に解約の申し込みがあった場合は、12/7に明渡しで、
それまでは家賃が頂けるということになるのですが…。
即刻明渡し退去の場合は、9/8までの日割り家賃+3ヶ月分の家賃を
請求するということで宜しいかと思います。

原状回復につきましては、事業用貸借契約契約の場合は、
契約時の約束に従うべきでしょう。
造作買取はどうなっているのか、保証金や権利金等はどうなっているのか、
明渡し時の原状回復はどうなっているのか、契約書の内容を良くご確認下さい。

(高原開発・涌井さん)


■□相談者より

早速のご回答ありがとうございました。
再度確認なのですが、12/7までの家賃+3ヶ月分の請求でよろしいでしょうか?
契約書によると造作等は借主負担になっていました。

二階部分の工事によって別の階に新しく亀裂等が発生した場合のために、
工事前に調査する機関があると聞いたのですが、
調査費用はどちらもちになるのでしょうか?
また、そのような調査は、こちらから言わなくても
基本として組み込まれているものなのでしょうか?

幾分素人なもので、お手数掛けますが、よろしくお願いします。


□■アドバイス:2

12/7までの家賃+3ヶ月分というのは違います。
9/8日までの日割り+3ヶ月の家賃です。
12/7に退去したとしても、これは変りません。
つまり、退去の3ヶ月までに退去の申し入れをするということですから、
12/7の退去であれば、違約金は取れません。

造作等は借主負担の契約とのことですが、退去する時に重要なのは、
造作を作るときの負担ではなくて、買取請求権はどのようになっているか…です。
通常は、借主は造作買取請求権を放棄すると規定されていると思いますが、
いかがですか?
  
契約内容によってはスケルトン返しとなっている場合もあるかと思います。
契約書に明記の無い場合は、原状回復の内容については、
賃借人との交渉によって決めるべきかと思います。

なお、調査云々に関しましては、仰っている内容がよく理解できないのですが、
事業用賃貸物件につきましては、契約書に従うということになると思います。
契約書に明記の無い場合は、基本的に賃借人との交渉によって
決めていくべきだと思います。

貴方はご自分で素人と仰っていますが、「不動産賃貸業」という、
立派な事業者であることをご認識下さい。
決して素人ではありませんし、素人と言ってはなりませんし、
素人であってはいけません。
そして、賃貸業を行う場合は、予想できる全ての事態に備えて
契約書を締結しなければなりません。
退去時になってあわてて色々と調べたり、交渉するのは、
賃貸事業者としては、不手際と言わざるを得ません。
賃貸事業者として、再度よく契約書の内容をご確認していただき、
賃借人と交渉すべきだと思います。

もし、万が一交渉が難航される場合は、
弁護士等の専門家にご相談されることをお薦め致します。

(高原開発・涌井さん)


■□相談者より

アドバイスありがとうございました。
今回を機に、きちんと勉強しようと再認識いたしました。
素早い対応に感謝いたします。本当にありがとうございました。

身寄りの無い方の敷金清算について

相談内容 身寄りの無い方の敷金清算について

東京・50代男性
私は貸主をしています。今回、借主が死亡した場合の
前家賃や敷金の扱いについてお伺いします。

死亡された方とは、20年近く賃貸関係があったのですが、
身寄り(相続人)が存在しないようです。
家賃は前払い(当月分を前月末支払い)の契約で、亡くなられた月の家賃は、
その前月にもらっています。

部屋の荷物の運び出しは、ご友人が自費で対応されています
(部屋の鍵や賃貸契約書は、この方がお持ちになっています)。
今現在、借主と関係があると思われるのは、このご友人だけなのですが、
この方に敷金や家賃(仮に精算分があるとして)をお返しして、問題ないでしょうか?

当方としては、後々になって、相続人を名乗る方が現れ、
敷金等の返済を求められるようなことも想定すると、
ご友人にはお返ししないほうがいいのか…とも、考えています。

身寄りのない一人暮らしの借主が死亡してしまった場合の
家賃・敷金の取り扱い方、このご友人への対処の方法などを、
アドバイスいただければ幸いです。


□■アドバイス:1

私見ですが、不安であれば、下記のような同意書等を作成して、
署名・捺印を頂き、領収書を頂いておけば、唯一の関係者である友人に
敷金精算金を渡しても良いのではないでしょうか?

  「賃貸人が調べた結果、今現在賃借人には相続人が確認できないため、
   賃借人の友人××氏に敷金精算金を渡すこととする。
   万が一賃借人の相続人等が現れて敷金精算金の相続を主張した場合など、
   敷金精算金を××氏に渡したことによって諸問題が生じたとしても、
   ××氏が一切の責任を負うものとする。
   本日、敷金精算金を××氏に渡すと同時に賃貸借契約は終了し、
   賃貸人は賃貸借契約終了後に生ずる諸問題については、
   今後一切責任を負わないものとすると同時に、
   賃貸借契約終了後に生ずる諸問題については
   ××氏が一切の責任を負うことに××氏は同意した」
        ※内容については、諸事情にあわせて適宜ご検討修正して下さい。

(高原開発・涌井さん)


■□相談者より

ご回答ありがとうございました。お礼が遅くなり、すみませんでした。

ご助言いただいた内容をもとに、不動産屋さんとも相談してみます。
ただ、ご友人に対し、以降の責任を一切負わせるということには、
先方の了解はえられないでしょうから、敷金に限定した責任の方向で検討してみます。

別の対応として、ご友人には敷金をお渡しせずに、実際の相続人が現れるまで
こちらでお預かりするといった選択もあるのかとも考えていますが、
いかがなものでしょうか?


□■アドバイス:2

あくまでも個人的な意見ですが、貴方の不動産所得の決算書に、
いつまでも預かり敷金が残っていることになると思います。
時効になっても相続人が現れない場合は、国庫に納めるべきものでしょうから、
万が一のことを考えると預かっていても面倒かな…とは思います。
一度、会計事務所などと、よくご相談されてみては、いかがでしょうか?

(高原開発・涌井さん)


■□相談者より

涌井様のおしゃるとおりですね。
会計事務所と近々会う機会がありますので、その折に相談してみることにします。
アドバイス、本当にありがとうございました。

畑の土の弁償について

相談内容 畑の土の弁償について

愛知・40代男性
畑であった300坪くらいのところをコンビニに貸しました。
返す時に原状回復するという条件で貸したのですが、
工事が始まって、グランドのレベルを合わせるということで、
畑の土をダンプで何十杯も運び出しました。
そこで、
   ●土地を貸しただけで、土まで持ってくということは容認してないこと
を、コンビニの担当者に伝えました。
ネットで土の価値を調べたら、1立方メートルあたり1万円ぐらいでした。
高さ40センチは削っているので、400立方メートル分の土か、
お金を返してほしいと思いますが、
一般的に考えますと、この要求はどうなのでしょうか?


□■アドバイス:1

おはようございます。GLを40センチ下げることに関して、
その原状回復をどのように合意したのでしょうか?
なんらの合意も無く、一方的に工事が進んだとは考えにくいのですが…。
合意があれば、その合意にしたがって解決することになります。

合意が無ければ、基本的には原状回復ということになりますが、
畑を一旦コンビニ用地にした場合に、
再び畑に戻すというのは、考えにくいでしょう。
逆に、今後の土地利用からすれば、
GLが合わせてあることが効果的であるとも考えられます。

私見ですが、要求には合理的な理由がないと考えられます。

(北杜宅建センター・萩原さん)


□■アドバイス:2

萩原さんのアドバイスの通りでしょう。
畑をコンビニ用地として賃貸するということは、当然、農地転用を行うわけです。
その時に造成計画図とか建物の設計図も添付されていたはずで、
その申請書には貴方の署名・捺印も有ると思いますが、いかがでしょうか?
借主、もしくは借主より依頼を受けた業者が図面等は作成したと思いますが、
その時に、「図面の確認をさせて欲しい」と貴方は請求すべきだったと思います。

また、貴方は不動産賃貸事業者となるわけですから、
一般素人とは言えないと思います。コンビニに貸すということは、
当然、道路からほぼ平坦に整地することは事前に想像できることだと思いますし、
ある程度は知っていて貸したのだと思うのですが、いかがでしょうか?
  
更に、貴方がその土に財産的価値が有ると思ったのであれば、
事前にご自分でその土を売って処分してから賃貸借契約を締結するのが妥当でしょう。
それは事業者として当然のことだと思います。

但し、交渉はあくまで交渉です。貴方が土の分の補償を請求し、
コンビニ側がそれを受け入れれば、よいことですから、
粘り強く交渉してみるのも良いでしょう。

  ★追加★
   農転時の図面等につきましては、都市計画区域内の市街化区域内における届出
   の場合は、地方自治体によっては提出を行わない場合もあると思います。
   特に今回の場合は300坪ということですから、事前に図面等の提出が行われな
   かった可能性もあるかと思います。
   但し、その場合であっても、やはり事前に図面等による確認は行うべきであっ
   たと思います。

(高原開発・涌井さん)


■□相談者より

アドバイス有難うございました。
図面にはGLについて記入されてないですし、
原状回復条件が契約書に書いてありますので、
コンビニの担当者に、こちらの言い分を粘り強く説明するつもりです。

元畑の駐車場の原状回復について

相談内容 元畑の駐車場の原状回復について

福岡・40代男性
営業所の駐車場として賃貸していた物件を、
営業所の移転により、解約することになりました。
10年以上前に賃貸する際に、当時、畑だった物件を、
こちらで盛り土をし、アスファルト舗装をしているようです。
 契約書には、
   ●畑として耕作できる状態への現状回復をする旨
   ●先方が原状回復を希望しない場合は、現状のままとする旨
  の記載があります。

 賃貸人側は、
   ●今は駐車場のままで、現状回復費用の見積相当分
    (状況によっては、将来は畑にするかもしれないとのこと)
    を敷金と相殺したい様子
ですが、当方としては、それを受入なくてはいけないのでしょうか?

こちらの対応としては、
   1.こちらの費用負担で畑へ戻し、敷金は戻してもらう。
   2.先方が現在の時点で畑に変更するつもりがないのであれば、
    敷金の全額返還を強く要求する。
  のいずれかだと思うのですが、ご意見をお聞かせ下さい。


□■アドバイス

私見ですが、通常は、貴方の仰るとおりです。
しかし、事業用の賃貸借契約は、基本的に契約書の内容を
遵守すべきだと思います。契約書の内容を良くご確認下さい。

また、交渉は怒ったら負けですから、感情的にならず、
一番コストが安い方法をご選択されることが、一番良い解決だと思いますので、
その点についても、良くご検討されることが宜しいかと思います。
(高原開発・涌井さん)


■□相談者より

アドバイスありがとうございました。
こちらも柔軟に対応していきたいと思います。

借地であるガソリンスタンドの更地返しについて

相談内容 借地であるガソリンスタンドの更地返しについて

広島・40代女性
いつも参考にさせて頂いてます。
40年ぐらい前に土地の賃貸借契約を結び、貸しています。
用途はガソリンスタンドです。
借主が、近年、売上利益とも伸びないので、返却したいと言ってきました。
こちらは、地下タンクなどは必要なく、更地で戻して欲しいのですが、
万一、更地にしてくれないのだったら、契約は解除しなくて良いのでしょうか?
よろしくお願い致します。


□■アドバイス:1

更地にして戻すという契約書にはなっていないのですか?
また、保証金等は預かっていないのでしょうか?
私見ですが、保証金を預かっていない場合は、
家賃が近隣相場に比較して高い設定になっていたことも考えられます。
業務用、特にガソリンスタンドに貸したのですから、
必ず契約書があり、保証金を預かっていたり、
返却時のことについても記載されていたりすると思います。

基本的には、返却の拒否はできないと思いますが、
上記の点について、よくご確認下さい。
(高原開発・涌井さん)


■□相談者より

ご返事ありがとうございます。
父が生前の際の話ですので、契約といっても口約束だけです。
もちろん保証金もありません。何度か借地料を値上げして頂いたようですが、
計算すると、ひと月500円/坪で、約30坪貸しています。
借主さんには、
 「地下タンク付きでの返却は困ります。建てたのは借主さんだから、
  返すのなら元あったように更地にして下さい」
と言って、現在、話が中断している状況です。


□■アドバイス:2

私見ですが、本件につきましては、
旧借地法の対象となるかどうかが微妙であると思います。
これは、ガソリンスタンドのタンクが建物と言えるかどうかに関わると思いますが、
業務用のタンクが建物となるかどうかが、私には判断できかねます。
もし、旧借地法の対象となる場合においては、タンクの撤去を賃借人の負担で
行うことを要求することは難しくなる可能性があります

 旧借地法
   第1条 本法ニ於テ借地権ト称スルハ建物ノ所有ヲ目的トスル地上権及賃借
       権ヲ謂フ

また、民法の第3編債権第2章契約第7節賃貸借(第601条~第622条)を読んでも、
今回のご相談に該当する条文は見当たりません。

はっきり申し上げて、簡単に貸しすぎです。
ガソリンスタンドのタンクを設置する時に、契約書も締結せず、
保証金も預からず、かつ、地代も1月あたり坪500円で30坪…。
ちょっと、常識の範囲を超えています。

今回のご相談の場合は、交渉でタンクを撤去して頂くようにお願いするのが
一番良いと思います。とにかく粘り強く交渉して下さい。
交渉が難航する場合は、弁護士等の専門家にご相談することが宜しいかと存じます。

なお、民法617条により、解約の申し込みより1年で土地の賃貸借契約は
終了致しますので、その期間内に交渉することが望ましいと思います。
(高原開発・涌井さん)


■□相談者より

涌井様、ご返事遅くなりました。なんとなく見えてきたように思います。
何れにしても、残った私が処理するしかないので、
正式に契約解除の連絡があったら、1年以内ということで、
速やかに専門家にお願いすることにします。
この度は本当にありがとうございました。

敷金について

相談内容 

福岡・40代男性
敷金の精算について地域によっても異なる様ですし、
最近は自然損耗に関しては貸主負担などといわれます。

中古住宅の借家の場合、中古だからそれなりの内装で充分と考える入居者と、
中古でも内装は新品同様のきれいな家に入りたいと考える入居者がいます。
もし貸主と借主が前者を望む場合と、貸主と借主が後者を望む場合では、
敷金の精算額(敷引き)に差が発生して当然ではないでしょうか?

入居時に中古住宅でも、内装は新品同様のきれいな家に入りたいと主張して
入居し、退去時は、中古住宅なので、このままの状態で
次の人を入居させれば良いから敷金は返してください…
では平等な契約とは感じませんが、いかがでしょう?

私は、自分が大切にしていた家を、きれいな借家として
使用していただきたいので、敷引き○ヶ月とはっきり表示して
契約しているのですが、何故、入居前に敷引き○ヶ月に納得して入居して、
退去時に返してくれ…が正しいのでしょうか?

契約条件に納得がいかないならば、入居しなければ良いのではないでしょうか?
現在住宅は他にも沢山あるのですから。
何故、契約を守らないことが正しいのでしょうか?




□■アドバイス:1

関西独特と思われていた「敷引金制度」は、福岡にもあるのですね。

さて、言われていることは、心情的にはよく分かります。
ただし法律から言うと、「敷引金」は「原状回復費用」とすると、
それは「賃料の二重取り」として、返還しなければならなくなります。

そこで「敷引金」は
   1.期間途中の解約を認めるための賃料補填費用
   2.貸主の希望賃料を下げていることによる補填費用
   3.自動更新による、更新手数料を免除するための費用
と言うような重要事項説明を行い、敷引きを行ってきた訳です。

しかし、上記のような説明で納得の上行った契約の敷引金も、
今般消費者契約法10条により、無効との判決が下されました
  (平成17年7月14日、神戸地方裁判所にて。
   平成16年(レ)第109号保証金返還訴訟事件。
   原審:神戸簡易裁判所平成16年(ハ)第10756号)

従って、賃借人から返還請求が出た場合、
不本意であっても感情的にならず、
穏便に和解するのが良いのではないでしょうか。

 (マック住研・清水さん)




■□相談者より

清水様、ご回答ありがとうございました。感謝いたします。

今回の裁判事例には以下の不備があったようですが、
「(▼)」の部分を全てクリアしていてもだめなのでしょうか?

  京都地判平16・3・16は次の通り判示しました。
   判決(一部)
    これに対し、賃貸人は将来の自然損耗等による原状回復費用を
    予想することは可能であるから、
    (▼賃貸人は予想して○○万円とした)
    これを賃料に含めて賃料額を決定し、
    (▼入居月数が決定されず月数で割れなかった)
    あるいは賃貸借契約締結時に賃貸期間に応じて
    定額の原状回復費用を定め、
    (▼賃貸借契約締結時に賃貸期間2年で
     ○○万の定額の原状回復費用を定めた)
    その負担を契約条件とすることは可能であり、
    (▼その負担を契約条件とした)
    また、このような方法を取ることによって、
    賃借人は、原状回復費用の高い安いを賃貸借契約を締結する
    かどうかの判断材料とすることができる。
    (▼原状回復費用の高い安いを、
    賃貸借契約を締結するかどうかの判断材料として納得し契約した)




□■アドバイス:2

平成17年7月14日、神戸地方裁判所の判決によると、
  「(前略)関西地区における不動産賃貸借において敷引特約が付されることが慣
   行となっていることからしても、賃借人の努力によって敷引特約を排除するこ
   とは困難であり、賃貸事業者が消費者である賃借人に敷引特約を一方的に押し
   付けている状況にあるといっても過言ではない。以上で検討したところを総合
   考慮すると、本件敷引特約は、審議則に違反して賃借人の利益を一方的に害す
   るものと認められる。(後略)」
として、消費者契約法10条により無効とされています。

判決内容を読んでいると、賃貸事業者は常に敷引特約の入っている契約書を
用いて契約を行っており、それが一方的に押し付けている状況にある
というような判決文になっているように読み取りました。

従って、あなたが言われている▼の部分を印刷ではなく、
契約書の特約欄に手書きで書き加え、賃貸人・賃借人が夫々署名・捺印を行う
と言うような契約をすれば、かなり防げるのではないかという気がします。

ただし、それで必ず防げるのかと言うことについては、
弁護士等の法律家にご相談いただくこととなります。
もっとも、弁護士等でも意見の分かれることとなると思われますが…。

 (マック住研・清水さん)




■□相談者より

賃貸事業者は、常に敷引特約の入っている契約書を用いて
契約を行っているときに問題となるようですね。

修理費用を家賃に入れれば問題はないのでしょうが、
入居期間が定まらないので、家賃に入れられません。
そこで敷引特約となるのですが、
多くの借主貸主が疑問を感じていますので、
契約の模範例があれば助かるのですが…。

どうもありがとうございました。




□■アドバイス:3

  >契約の模範例があれば助かるのですが…。
 当社の賃貸借契約書の「解約引」に関しての記述は、
  「甲は契約期間が満了した日(以下「契約終了日」という)
   より1ヶ月以内に頭書敷金より○○万円を差引き、
   残額を乙に返還するものとする」となってます。

 ただし、重要事項説明書には、
  「敷引(解約引)金は、次のものを補填するための合計費用です」
 として、7月28日付けのコメントに書いている3項目を説明しています。

 これを行った上で、契約書の署名欄に、
  「本契約書全文通読の上、署名捺印したことに相違ありません」
 と賃借人の自署で頂くことにより、かなり回避できると思われます。

 これ以上は弁護士さんにご相談ください。

 (マック住研・清水さん)

自己使用の退室時手数料とは?

相談内容 

2000年2月に転勤のため、築10ヶ月の
ほとんど新築の状態のマンションを貸しています。
ある会社の社長さんが、自宅が遠いので、会社の近くに部屋を借りたい
ということで、そういうことならあまり部屋も傷まないし、
法人契約の方が退去時にトラブルにならないというのが仲介業者の話でした。

次回の更新が2006年2月なのですが、今回、転勤で戻れることになったため、
仲介業者を通じて「貸主・自己使用」による契約終了を申し入れようとしました。
仲介業者に書類を作ってもらったところ、家賃1ヶ月分の手数料の請求書が
同封されていました。この手数料は高くないでしょうか?

担当者には「業界の常識です」といわれました。
さらに手数料を支払ってもこじれる場合があり、
敷金全額返金、引越し費用家主負担、原状回復費用家主負担、
大体、物件の仲介手数料の家主負担などがあると言われました。
その程度ですめば、いい方であるとも書かれていました。

そして、社長さんという話はどこかにいってしまい、
いつのまにかその会社の社宅になっているというのです。
それは契約違反にはならないのでしょうか?

法人契約になっているので、社長が住もうが、社員が住もうが
貸主には関係ないのでしょうか?社宅ということであれば、
家の傷みもかなりのものと思われます。
この手数料を支払っても、その業者にやってもらった方がいいのでしょうか?
                            


□■アドバイス

建物賃貸借契約書ですが、
借主は法人でも入居者を特定されてなかったのでしょうか?
法人契約でも、入居者を特定し別の入居を認めない場合と、
社員寮として使用し入居者を特定しない場合が有ります。
もし、特定してあれば契約違反になります。
契約違反があれば契約違反を理由に退去を求めたり、
損害賠償請求が可能と思われます。

退去に伴う交渉についてですが、費用については地域により、
また交渉内容により異なると思います。
交渉方法と交渉期間などについて見積書を出してもらい、
適性かどうか判断するしかないでしょう。
また、管理委託契約が結ばれていれば
その管理委託契約書に書いてある場合もあります。

自己使用による退去通知であっても、
退去に伴う費用が発生することがあり、敷金を全額返金し、引っ越し費用、
住み替え先の賃貸物件の仲介手数料などを負担する場合もあります。

 (アットホーム・香川文人さん)

4年前の敷金返還訴訟について

相談内容 

ご相談に乗っていただけますでしょうか。
当方、地方にてアパートを経営しております。
当地では礼金1ヶ月、敷金2ヶ月が周りの相場になっており、
それにならい所有アパートも同様の設定を行っております。

先日、敷金返還訴訟を起こされました。4年半前に退去した人で、
正直どんな方だったかも思い返せません。

手元に残っている資料をみると、クロスの張り替えがあり、
4万ほど敷金にプラスして請求し、払ってもらっておりました。
アパートは管理会社に任せており、
立会もその管理会社にて行ってもらったのですが、
当時の担当者はすでに退職しており、
部屋の中がどうなっていたのか分からないのですが、
訴状の内容をみると、
敷金全額と払った追い金4万円を返還しろとの事でした。

現在退去があれば、最初の取り決め(畳の表替え、クリーニング、
鍵の取り替え費用)以外は、ほぼ当方で負担しており、
余程あきらかに使い方が悪いと思われるもの以外は
退去される方に請求はしていません。

しかし正直なところ、4年半前の当時は、いわゆるガイドライン(?)は
一般的ではなく、私自身も知りませんでしたし、
管理会社任せですべてを行っており、実際管理会社に双方の負担を決めてもらい、
この管理会社とは長いつきあいで、入居者の方からの評判も悪くなく、
言われるがままに工事代金の支払いは行っておりました。

その後その部屋には他の入居者が入り、
現在どのような状況になっているかは分かりません。

お聞きしたいのは、そのような過去のものに関しても、
敷金を返金しなければいけないものなのかどうかです。
  
実際、4年半も経過した後では、当時の補修の内容が妥当だったかどうかも
今となっては分からず、個人的には先方もその内容を認めたからこそ
追い金も支払われたのでしょうし、正直なところ、
今更そんな事を言われても…と困っております。

いったいどのようにすれば良いでしょうか。
漠然とした相談内容で申し訳ありませんが、
私も当時の内容を把握出来ず、漠然とした相談しか行えません。

また、正直なところ、この方に精算済みの敷金を返さないといけないとすれば、
他の退去された方にも同様な訳で、どうしたら良いかわかりません。
お手数をおかけいたしますが、アドバイスをお願い出来ますでしょうか。



□■アドバイス

訴訟ですから訴えられたのでしょうが、ご相談の内容からでは、
払わなくて良いように思えます。
  
ただ、当時の請求書があって、その理由に「リフォーム一式」とか
書いてある場合に、一式分払わされたが不当だとの理由かもしれませんね。
  
一式とは全部でなく、全体工事の一部の負担分を一式と表記したとか、
多分細かい問題になりそうですが、管理会社に任していたのですから、
損傷分を払っていただいたと思っていると、
切り抜ける以外にないのではないでしょうか?
4年半の時間は純然たる法律(時効)課題ですから、
専門家にご相談ください。
もし、負ければ、今度は管理会社の責任問題になります。

(グッドカラーステッション・中尾正文さん)




■□相談者より

中尾様、ご返信ありがとうございます。
請求書というか、立会精算書と言うものを管理会社から貰っており、
そこには各明細が載っており、リフォーム一式というわけではありませんでした。
また、その際に退去した方の署名と印鑑も貰っています。

訴訟の内容として、
敷金の返還とあわせ年6%の利子を付けろとの内容でした。
本日裁判所に行って来て、聞いたのですが、
敷金の時効は明確に定められていないようです。

最近の敷金返還の流れに沿った訴えなのでしょうが、
正直そんな過去のものにまで遡って言われ始められても困っておりますが、
時効になっていない以上払う必要があるのでしょうか。

また中尾様のおっしゃる専門家とは、
弁護士と言う事でよろしいでしょうか。不動産協会とかの事でしょうか。
たびたび質問して申し訳ありませんが、アドバイスいただけますでしょうか。

原状回復、家主の負担の範囲について

相談内容 

賃貸マンションを営んでおりますが、部屋の引渡し時に原状回復のために、
内装業者の見積によりよごれのひどい箇所等のクロス張替えの見積書をとり、
借主へ請求しました。すると、クロス張替えの全額請求はおかしい、
自然の汚れを考慮するとその30%くらいだとの主張されました。
私も何10年の賃貸業をしておりますが、このように言われたのは始めてです。
一般的な引渡し時の修繕費、原状回復にかかる費用の借主負担、
家主負担の範囲をお教えください。尚、契約書には、
内装壁の張替えは借主負担と謳っていますが、その範囲等は記載しておりません。




□■アドバイス

国土交通省のガイドラインを一応の参考にされて如何でしょうか。

   http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/torikumi/kaihukugaidokai.pdf

(集住企画・中村孝司さん)

敷金以上の補修費の請求について

■□相談内容 

初めまして。自宅として使用していたマンションを、
転勤のため家を空けることになり、
不動産屋を通じて賃貸に出しておりました。
この物件が昨年度解約され、
そのときの不動産屋とのやりとりで少し分からないことがあり、
インターネットで情報収集していたら御社のHPにたどり着き
早速質問をしようと思いメールいたしました。
なにぶん素人でありますのでよろしくお願いします。

H9年9月からH15年9月まで6年間貸し出しをしておりました。
退去時、不動産屋から
「借主が、敷金の返還は、不要なので追加費用等の受付はできません」
との連絡があり、マンションの現状回復については、
大手の不動産屋の言うことであるからそんなに気にしていませんでした。
また、物件が、関西方面にあるため引渡し時に立ち会うことができませんでした。

しかし、年末に本物件を見に行くと
壁に直径15cm程度の穴、洗面台の下の扉化粧板の割れ等に気が付き
これは、追加費用が必要なのでは?との疑問をもちました。
また、部屋の管理状況も決して丁寧とは、いえない感じがしています。

   ・壁‐煙草のヤニによる変色。
    ポスターと思える後がくっきりと着く(3LDK各部屋+廊下すべて変色)
   ・カーペット‐大きなシミ(原因不明)
   ・天井‐壁と同様
   ・ふすま、畳については、経年劣化

先日、不動産屋にそのことを伝えると
「その程度はしょうがないですね。
 その程度で文句をいわれるのであれば、貸さなければいいですよ」
といわれてしまいました。

  家賃     88千円
  敷金3ヶ月分 264千円
  
次回賃貸に出す場合の部屋の補修費用 450千円(不動産屋見積もり)
差額が大きいのでチョット戸惑っています。

不動産屋への補修についての交渉もあり、
また、今後のこともありますので、以下のことについて教えてください。

  (1)敷金以上の補修費を請求することは、困難ですか?
    不動産屋は、現在の賃貸契約に関する法律により
   それ以上は、困難と言っています。
  
  (2)仲介不動産屋の責任範囲は?(代理確認者として)インターネットを
    調べますと借主が、不動産屋相手に敷金の返還を求めて
    訴訟を起す事例が多く載っており、逆のケースが少ない
  
  (3)貸す前の契約条件のつけ方


□■アドバイス:1

原状回復とは、例えば和室を洋室に模様替えしてしまったので
元に戻すということを言います。
新品で貸したのだから新品で返せという権利ではありません。

今おっしゃっている原状回復費用は損害賠償の事だと思います。
ボードに穴を空けてしまったのは借主に過失があると言えるので請求できるでしょう。
経年劣化の部分は借主に過失がないので請求できません。
たばこのヤニは微妙です。特約がないとした場合の判例は過失有り、
過失無しどちらとも確定していません。
しかし、たばこのヤニは過失であるという特約をしていた場合は、
それが有効であるケースが多いようです。

  > (不動産屋見積もり)

借主が負担すべき割合を各項目別に出して貰い、それが
敷金相当額と比較してどうであるかを確認しましょう。

  > (1)敷金以上の補修費を請求することは、困難ですか?
  
理由があればできます。

  > 不動産屋は、現在の賃貸契約に関する法律によりそれ以上は、困難と言ってい
  > ます。
  
「敷金以上は請求不可」という法律はありません。根拠条文を示させてみてください。

  > (2)仲介不動産屋の責任範囲は?
  
仲介業者が部屋を使ったわけではありませんし、負担すべく借主の債務を
免除したというわけでもないでしょうから法的な追求は難しいと思います。
しかし、このようなトラブルは当然に予見できるので、予め説明をすべきでしたね。

  > インターネットを調べますと借主が、不動産屋相手に敷金の返還を求めて訴訟
  > を起す事例が多く載っており、逆のケースが 少ない
  
不当に、敷金を返還しない貸主が多いので訴訟をする借主が多いのでしょう。
逆に、敷金を超えるケースで貸主に勝ち目のある物は少ないからかもしれません。

  > (3)貸す前の契約条件のつけ方
  
前述のように特約を設けることは可能です。もちろん、闇雲になんでも有効と
なるわけではありませんが、事前にプロが説明をしてあげるべきでしょうね。

(集住企画・中村孝司さん)


■□相談者より

早速の投稿ありがとうございます。大変、勉強になります。
申し訳ありませんが、さらに質問をさせていただきます。

  > ボードに穴を空けてしまったのは借主に過失があると言えるので請求できるで
  > しょう。
  
このことは、今度賃貸に出すときに不動産屋さんに事前に確認することにします。

  > 借主が負担すべき割合を各項目別に出して貰い、それが敷金相当額と比較して
  > どうであるかを確認しましょう。
  
借主の負担分と補修費用の見積もり書を頂いておりますが、
敷金相当額との比較方法としては、

  (1)汚れのひどい部屋についてのクロス張替えは、借主負担となっています。
    →これは、OKと思っています。
  (2)洋室のカーペットの汚れ。かなりひどい部分があり、借主は、クリーニング
    費用のみ修復では、張替え。
    →これについては、チョット?(聞いていた以上に汚れがひどく確実に張替
     えが必要)約6万の持ち出しになります。
  (3)修復の見積もりには、その他、洗面、トイレ、汚れの程度が比較的少ない部
    屋のクロス張替え等の費用が計上。
    →これについては、次回貸し出しの際、やっておいたほうが良いとのコメン
     トが付いていましたので打合せが必要と思っています。

上記(3)の費用が、約13万、(2)の費用が約6万が余分にかかることになりますが、
この比較からすると具次に貸し出す時への投資(早く借主を見つける)為の
費用として妥当な金額になるのでしょうか?

  > 「敷金以上は請求不可」という法律はありません。
  > 根拠条文を示させてみてください。
  
今度、この辺のところをやんわりと聞いてみることにします。
細かい質問となりますが、今後の参考としたいためよろしくお願いします。


□■アドバイス:2

自動車事故などで相手の車を過失によって全損させた場合、
新車価格ではなく、時価額で賠償しますよね。
今回の損害賠償も、借主に過失があるからといって、借主が
新規貼替え費用全額を負担する必要はありません。
6年賃貸をしていたのですから、過失なく使用していたとしても
経年劣化が生じますので、なんの特約もない場合、大まかな数字ですが
借主負担率は20~60%程度になると思います。

これらをふまえて、適正に算出した借主負担額が
敷金に比較してどうかが肝心です。仲介業者の説明の仕方も悪いですね。

  > →これについては、チョット?
  
貼替えが必要であるのに、クリーニングの見積を提示したのであれば
仲介業者に過失がありそうですね。
そのことによって、いまさら借主に貼替え費用を請求するのは困難で、
貸主は損害を被ったと言えるかも知れません。
そもそも、貸主の了解なくそのような話をまとめてしまったのは
越権行為かも知れませんね。

  > 打合せが必要と思っています。
  
この部分は、借主の過失はないと思うので、請求は不可。
やるかやらないかは貸主の自由ですね。6年というと、確かに微妙な時期です。

  > 今度、この辺のところをやんわりと聞いてみることにします。
  
ただし、実際問題として敷金以上に請求するのは
かなり困難である場合が多いことは事実です。「法律」はありませんが。

(集住企画・中村孝司さん)



■□相談者より

色々と細かいところまで教えていただきありがとうございました。
次回の参考にさせていただきます。

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